肩石灰沈着性腱炎について

2015/10/04

肩関節に起こる痛みには、

五十肩（肩関節周囲炎）のほかに、

肩石灰沈着性腱炎、肩腱板損傷、

などもあります。

これらは、X線撮影、関節造影検査、MRI、超音波検査などで

区別（鑑別診断）します。

X線画像では五十肩に

特異的な異常はみられないので、

前記のような他の疾患を除外するために行われます。

「肩石灰沈着性腱炎」は、

夜間に突然起きる強烈な肩関節の痛みで始まる事が多いといわれており、

痛みで眠れず、関節を動かすことが出来なくなります。

４０～５０歳代の女性に多くみられます。

これは肩腱板内に沈着した石灰によって

急性の炎症が生じる事によって起きる

肩の痛み・運動制限です。

この石灰は、当初は濃厚なミルク状で、

時間が経つにつれ、石膏状へと

硬く変化していきます。

石灰がどんどんたまって

膨らんでくると痛みが増してきます。

そして、腱板から滑液包内に破れ出る時に激痛となります。

急性期では、痛みを早く取るために、

腱板に針を刺して沈着したミルク状の石灰を

吸引する方法がよく行われています。

三角巾などで安静を計り、

消炎鎮痛剤の内服、水溶性副腎皮質ホルモンと

局所麻酔剤の滑液包内注射なども有効です。

痛みがとれたら、温熱療法（ホットパック、入浴など）や

運動療法（拘縮予防や筋肉の強化）などのリハビリを行います。

ほとんどの場合、保存療法で軽快しますが、

亜急性型、慢性型では、石灰沈着が石膏状に固くなり、

時々強い痛みが再発することもあります。

硬く膨らんだ石灰が肩の運動時に周囲と接触し、

炎症が消失せず痛みが続くこともあります。

痛みが強く、肩の運動に支障がある場合は、

手術で摘出することもあります。